歯ぐきから血が出て腫れるとき:原因と治療、受診が必要な時期
歯ぐきの出血や腫れは、大半が歯と歯ぐきの境目に残ったプラーク(細菌の膜)が起こす歯ぐきの炎症、つまり歯肉炎のサインです。疾病管理庁(KDCA)は、歯みがきや食事のときに血が出れば歯周病の可能性が高いが、出血が多いからといって病気が重いわけではなく、スケーリングのような軽い治療で解決することも多いと説明しています。炎症が歯槽骨まで広がった歯周炎は元に戻すのが難しいので、出血が繰り返すなら先延ばしにせず、検診とスケーリングを受けるのがよいでしょう。
要点
| 成人の歯周病有病率 | 19歳以上の成人の23.4%、2018年国民健康栄養調査の口腔検査に基づく (出典: 疾病管理庁 国家健康情報ポータル) |
|---|---|
| 受診の規模 | 2024年の歯肉炎・歯周病の外来患者は約1,960万人(多頻度傷病統計) (出典: 疾病管理庁 国家健康情報ポータル) |
| 出血が意味すること | 歯みがきや食事のときの出血は歯周病の可能性が高いですが、出血がひどいからといって病気が重いわけではありません (出典: 疾病管理庁 国家健康情報ポータル) |
| 歯肉炎と歯周炎 | 歯肉炎は歯ぐきにとどまり簡単な治療で回復し、歯周炎は歯槽骨が破壊されて元の状態に戻すのが難しくなります (出典: 疾病管理庁 国家健康情報ポータル) |
| スケーリングと健康保険 | 満19歳以上、年1回(1月1日〜12月31日)、自己負担率30% (出典: 国民健康保険公団) |
| スケーリングの推奨間隔 | 健康な歯ぐきでも年1回、歯周病の治療歴があれば3〜6か月ごと (出典: 疾病管理庁 国家健康情報ポータル) |
| 歯と歯の間のケア | 1日1回以上、デンタルフロス、歯間ブラシ、口腔洗浄器などを使う (出典: 疾病管理庁 国家健康情報ポータル) |
| 妊娠中の歯科治療の適期 | 妊娠中期(16〜28週) (出典: 国民健康保険公団) |
歯ぐきから血が出る最も多い理由は何ですか?
歯と歯ぐきの境目に歯ブラシが十分届かないと、細菌のかたまりであるプラークが残り、プラークの中の細菌が出す毒素が歯ぐきを刺激して炎症を起こします。炎症を起こした歯ぐきは赤く腫れ、わずかな刺激でも出血しやすくなります。健康な歯ぐきなら普段の歯みがき程度では血が出にくいので、歯みがきのたびに血がにじむなら、まず炎症を疑います。
プラークが固まると、唾液中のカルシウムが沈着して歯石になり、ざらざらした歯石の表面には細菌がさらに付きやすくなります。歯石は歯みがきだけで完全に取り除くのが難しく、歯科でスケーリングによって取り除く必要があります。
出血する場所も手がかりになります。歯と歯の間、下の前歯の内側、一番奥の奥歯の周りなど、歯ブラシが届きにくい場所から出血するなら、そこにプラークと歯石が残っている可能性が高いです。反対に、片側の歯ぐきの表面をこすったように血が出るなら、歯みがきが強すぎる、またはフロスを強く押し込んだことが原因かもしれません。
歯肉炎と歯周炎はどう違いますか?
疾病管理庁は、歯周病を初期段階の歯肉炎と進行段階の歯周炎に分けています。歯肉炎は炎症が歯ぐきの軟組織にとどまった状態で、歯石の除去と丁寧な口腔ケアだけで回復することがあります。
歯周炎は、炎症が歯ぐきの下の歯槽骨まで広がって骨が溶け、歯と歯ぐきの間に深いポケットができた状態です。歯周炎の段階では元の状態に戻すのが難しく、治療の目標は進行を止める、または遅らせることに変わります。歯周病は初期にはほとんど痛みがないため、出血と腫れが事実上唯一の警告であることが多いです。
- 初期:歯みがきや食事のときの出血、赤く腫れた歯ぐき、口臭
- 進行:歯ぐきが膿んだり下がったりして歯が長く見える、歯がしみる
- 進行:歯と歯の間に食べ物がよく挟まり、噛むときに力が入りにくい
- 重度:歯がぐらつき、噛むと痛む
プラーク以外にも歯ぐきの出血を招く原因はありますか?
プラークが基本的な原因ですが、体の状態や飲んでいる薬が歯ぐきの炎症を悪化させたり、血を止まりにくくしたりすることもあります。疾病管理庁の資料に挙げられている要因は以下のとおりです。こうした要因があっても、プラークの管理を併せて行ってはじめて出血が減ります。
- 思春期、月経、妊娠などホルモンが変化する時期
- 血糖が高い状態が続く糖尿病
- 白血病などの血液疾患、血小板が減る病気
- 降圧薬、抗けいれん薬、免疫抑制薬、経口避妊薬などの一部の薬
- アスピリン・ワルファリンなどの抗血小板薬・抗凝固薬の服用
- ビタミンC欠乏(初期症状として歯ぐきの炎症・出血)
- 喫煙、肥満(BMI 30以上)などの歯周病の危険因子
歯ぐきが腫れて出血するとき、自宅ではどうすればよいですか?
出血するからといって歯みがきを避けると、プラークがさらにたまって炎症が長引きます。歯ブラシを歯ぐきに軽く当て、歯と歯ぐきが接する部分からやさしく磨き、1日1回以上、デンタルフロスか歯間ブラシで歯の間を清掃します。最初の数日は血が出ることがありますが、炎症がおさまれば出血も減るのが一般的です。
飲む歯ぐき薬だけで解決しようとする人も多いですが、疾病管理庁は、歯石を取り除かずに薬だけ飲んでも効果が出にくく、歯ぐきの治療と併せて服用する必要があると説明しています。自宅でのケアは歯科治療の代わりにはならず、治療の効果を維持する役割です。歯ブラシは約3か月ごと、毛先が広がったらそれより早く交換し、歯間ブラシは歯ぐきが痛くないサイズを選んで無理に押し込まないようにします。
歯科では歯ぐきの出血をどのように治療しますか?
歯科では、歯ぐきの色と形、出血の有無、歯周ポケットの深さ、歯の動揺を検査し、レントゲン写真で歯槽骨の状態を見ます。歯肉炎ならスケーリングと口腔衛生指導でほとんど回復し、歯周炎なら歯ぐきの下の根の表面の歯石まで掻き取ってなめらかに整える歯根面滑沢術(ルートプレーニング)を行います。
炎症が深い場合は、歯ぐきを開いて歯石を取り除く手術や骨移植などの歯周外科治療を行うこともあり、必要に応じて抗菌薬を使います。歯周病は治療後に再発しやすいため、3〜6か月間隔の定期的な維持管理が治療の一部に含まれます。
抗凝固薬や抗血小板薬を飲んでいる、血小板が減る病気がある、血圧や血糖がうまくコントロールされていない場合は、スケーリングの前でも必ず歯科に伝える必要があります。薬を自分でやめると別の危険が生じることがあるため、必要な調整は処方した医師と歯科が一緒に判断します。
健康保険と検診はどのように利用しますか?
満19歳以上は、毎年1月1日から12月31日までの間にスケーリング1回に健康保険が適用され、国民健康保険公団(NHIS)は自己負担率を30%と案内しています。保険適用のスケーリングはその年に受けなければ翌年に繰り越されないので、年末までに受けておくのがよいでしょう。
国の一般健康診断の共通検査項目には口腔検診が含まれており、地域加入者の世帯主と20歳以上の世帯員は2年に1回受けられ、40歳ではプラーク検査が加わります。妊娠中であれば、妊娠・出産診療費支援のバウチャーを歯科の診療費にも使えます。公団は、2022年からこのバウチャーの使用範囲を歯科診療を含むすべての診療費に広げ、保険適用・非適用の自己負担金のどちらにも使えると案内しています。
すぐ受診が必要な歯ぐきの出血はどのような場合ですか?
次のサインがあれば、歯ぐきのケアだけで待たずに受診してください。出血が歯ぐき以外の問題と関係している可能性がある場合は、歯科とあわせて内科の受診も検討します。特に、体のあちこちに理由のないあざができたり、疲れやすかったりする場合は、血液検査が必要なことがあります。
- 丁寧にケアしても出血と腫れが続く
- 歯ぐきから膿が出る、または歯ぐきが丸く膨らむ
- 歯がぐらつく、または歯の間が開く
- 血が止まりにくい、またはあざや鼻血が多い
- 熱が出て、顔やあごの下が腫れ始める
詳しいガイド
よくある質問
歯みがきのときだけ少し血が出ますが、大丈夫ですか?
少しでも繰り返し出血するなら、歯肉炎の段階の可能性が高いです。この段階でスケーリングとブラッシングの修正を行えば回復しやすいので、痛みがなくても検診を受けるのがよいでしょう。血が出る場所を覚えておいて診察のときに伝えれば、その部位をより丁寧に診てもらえます。
出血が多いと歯周病は重いのですか?
疾病管理庁は、出血がひどいからといって歯周病が重いわけではなく、スケーリングのような軽い治療で解決する可能性も高いと説明しています。反対に、出血が少なくても歯槽骨がかなり減っていることがあるため、検査で確認する必要があります。
タバコを吸っていますが、歯ぐきから血があまり出ません。歯ぐきは健康なのでしょうか?
出血が少ないというだけで、歯ぐきが健康だと判断することはできません。喫煙は歯周病の予後を悪くし、治療効果も下げる危険因子なので、定期検診で歯ぐきの状態を確認するのがよいでしょう。
歯ぐきが腫れて出血していますが、うがいだけでもよいですか?
うがい薬は補助手段にすぎず、歯に付いたプラークと歯石は、歯みがき、フロス、スケーリングで取り除かなければなりません。うがいで症状が一時的に軽くなっても、原因が残っていれば炎症は続きます。エタノールを含むうがい薬は口を乾燥させることがあるため、口の渇きがある人はエタノールを含まない製品を選ぶようにという、食品医薬品安全処の案内もあります。
糖尿病があると歯ぐきの出血が起こりやすいですか?
糖尿病と歯周病は互いに影響し合い、血糖がうまくコントロールされないと歯周炎が悪化することがあり、歯周炎の炎症は血糖コントロールを難しくします。糖尿病がある人は、血糖管理と歯ぐきの管理をあわせて行ってください。内科の診察では歯ぐきの出血が多いことを、歯科の診察では糖尿病と服用中の薬を互いに伝えると、二つの治療を調整しやすくなります。
スケーリングはどれくらいの頻度で受けるべきですか?
歯周病がなくても年に1回は受けることが推奨され、歯周病があった人や治療後の維持管理中の人は3〜6か月ごとに受けます。スケーリングの健康保険は年1回だけ適用されるため、それ以外の回数は費用を事前に確認してください。