歯ぐきの出血の原因:歯肉炎からホルモン変化、服用薬、血液疾患まで
歯ぐきから血が出る理由は、ほとんどの場合、歯と歯ぐきの境目に残ったプラークが歯ぐきに炎症を起こしたことです。ここにホルモン変化、糖尿病、一部の薬、血液疾患、栄養不足が重なると、同じ量のプラークでも炎症と出血がひどくなったり、血が止まりにくくなったりすることがあります。原因が何であってもプラーク管理が基本で、管理しても出血が続く場合や、体のほかの場所でも出血しやすい場合は、歯科と内科で原因を確認する必要があります。
要点
| 最も多い原因 | プラークの中の細菌がつくる毒素が歯ぐきに炎症を起こします (出典: 疾病管理庁 国家健康情報ポータル) |
|---|---|
| プラークとは別に影響を与える要因 | 思春期・月経・妊娠・糖尿病によるホルモン変化、白血病などの血液疾患、一部の薬 (出典: 疾病管理庁 国家健康情報ポータル) |
| 歯ぐきに影響を与えうる薬 | 降圧薬、抗けいれん薬、免疫抑制薬、経口避妊薬 (出典: 疾病管理庁 国家健康情報ポータル) |
| ビタミンC不足 | 不足の初期症状として、歯ぐきの炎症や出血が現れることがあります (出典: 疾病管理庁 国家健康情報ポータル) |
| 処置の前に伝えるべき状態 | 抗凝固薬の服用、肝硬変・白血病・血小板減少症・抗がん治療のように血小板が減る状態 (出典: 疾病管理庁 国家健康情報ポータル) |
歯ぐきの出血の原因は、大きくどう分けられますか?
歯ぐきの出血の原因は、四つに分けて見ると理解しやすくなります。一つ目は、プラークと歯石が起こす歯ぐきの炎症。二つ目は、ホルモンや全身疾患のように炎症を大きくする体の状態。三つ目は、薬や血液疾患のために血が止まりにくい状態。四つ目は、歯みがきやフロスによる物理的な傷です。
実際には、一つ目の原因がほぼすべてのケースの土台にあり、残りはその上に加わって出血をひどくします。そのため、ほかの原因が疑われても、プラーク管理とスケーリングを先に行ってこそ、出血がどこから来ているのかをきちんと見分けられます。
プラークと歯石はどのように歯ぐきを傷つけますか?
食べかすと細菌が固まったプラークは、歯と歯ぐきが接するすき間にたまり、その中の細菌がつくる毒素が歯ぐきを刺激します。歯ぐきはこれに対抗して血管を広げて腫れますが、こうして腫れた歯ぐきは薄く弱くなり、歯ブラシや食べ物がかすめるだけでも血が出ます。
プラークが長く残ると、唾液中のカルシウムと結びついて硬い歯石になります。歯石は表面がざらざらしていて細菌がさらに付きやすく、歯ぐきの下へ入り込んで炎症を深くします。疾病管理庁は、口の中の衛生状態が悪いと、歯石を取り除いた後でも1~2か月以内にプラークの中の細菌が再び増えうると説明しています。
ホルモン変化と全身疾患はどんな影響を与えますか?
疾病管理庁は、思春期、月経、妊娠、糖尿病のようにホルモンが変わる状況が、プラークとは別に歯ぐきの炎症に影響を与えうると説明しています。こうした時期は、普段と同じブラッシングをしても歯ぐきが腫れやすく出血しやすいため、ケアをより丁寧にする必要があります。
糖尿病は歯周病と互いに影響し合う代表的な疾患で、血糖がうまくコントロールされていないと、歯ぐきの炎症がひどくなりやすくなります。白血病などの血液疾患や、肝硬変、血小板減少症、抗がん治療のように血小板が減る状態では、歯ぐきの血が止まりにくいことがあります。歯ぐき以外にもあざや鼻血が多いなら、こうした可能性もあわせて確認します。
飲んでいる薬や栄養状態も原因になりますか?
疾病管理庁の資料には、降圧薬、抗けいれん薬、免疫抑制薬、経口避妊薬が、歯ぐきの状態に影響を与えうる薬として挙げられています。アスピリンやワルファリンのように血を固まりにくくする薬を飲んでいる人は、小さな炎症でも出血が長引くことがあります。どの場合でも薬を自分でやめず、歯ぐきの出血があることを処方した医師と歯科の両方に伝えます。
栄養面では、ビタミンCが代表的です。疾病管理庁は、ビタミンCが不足すると初期症状として歯ぐきの炎症や出血が現れることがあると説明し、2018年の国民健康栄養調査で韓国人のビタミンC摂取が不足気味だったと紹介しています。野菜と果物をバランスよく食べる食事が基本です。
歯みがきやフロスのやり方が悪くても血が出ますか?
特定の部位を強くこすりすぎたり、フロスを歯ぐきの中へ力いっぱい押し込んだりすると、健康な歯ぐきでも傷がついて血が出ることがあります。こうした出血は一、二か所に限られ、傷が治れば止まるのが普通です。
逆に、フロスを使い始めたときに何本もの歯の間で血が出るのは、その場所にすでに炎症があったという意味であることが多いものです。やさしく使い続けると、炎症が治まって出血も減るのが一般的で、続くならスケーリングが必要か確認します。毛が曲がって先が鋭くなった歯ブラシや、ワイヤーが折れ曲がった歯間ブラシも歯ぐきを傷つけることがあるので、道具の状態もあわせて点検します。
よくある誤解と事実
誤解: 歯ぐきの血は疲れて出るものなので、しっかり休めば治る
歯ぐきの出血の大半は、プラークが起こした炎症です。休んでも、プラークと歯石が残っていれば出血は続きます。
誤解: ビタミンCさえとれば、歯ぐきの血は止まる
ビタミンC不足は歯ぐきの出血の一つの原因ですが、大半の出血はプラークによるものです。ビタミンCをとりすぎると、吐き気、嘔吐、下痢が起こったり、尿路結石のリスクがわずかに増えたりすることがあります。
誤解: 血が出る場所は磨かずにそのままにしておくほうがよい
血が出る場所ほど、プラークが残っている可能性が高くなります。力を抜いてやさしく磨いてこそ、炎症が治まります。
よくある質問
歯ぐきの出血が急に増えましたが、原因は何でしょうか?
最近歯みがきがおろそかになっていないか、妊娠や月経のようにホルモンが変わる時期ではないか、新しく飲み始めた薬がないか、まず思い浮かべてみます。特別なきっかけがないのに出血が増え、あざや鼻血まで多いなら、歯科とあわせて内科で血液検査を受けるのがよいでしょう。
一か所からだけ血が出続けます。
その場所に歯石が残っている、詰め物や被せ物の境目に食べ物が挟まる、歯周ポケットが深くなっている、といった可能性があります。一か所で繰り返す出血は局所的な原因を探しやすいので、歯科でその部位を集中的に確認してもらいます。その場所が腫れて押すと痛い、または膿が見えるなら、歯ぐきの中に炎症がたまっている状態かもしれないので、急いで受診します。
ピルを飲むと歯ぐきから血が出ますか?
疾病管理庁は、経口避妊薬を、歯ぐきの炎症に影響を与えうる薬の一つに挙げています。ただし、飲めば誰でも出血するわけではなく、プラーク管理がよければ影響は小さくなります。薬を変えたりやめたりするときは、処方した医師に相談します。
朝起きると、枕や唾に血が付いています。
寝ている間は唾液が減って口の中が乾き、細菌が増えやすいため、歯ぐきに炎症があると血が混じって出ることがあります。繰り返すなら歯ぐきの状態を診察してもらい、血が多い場合や止まりにくい場合は、ほかの原因も確認します。
ストレスがたまると、歯ぐきが腫れて血が出ます。
疾病管理庁は、心理・社会的な要素を、歯周病の危険因子の一つに挙げています。ストレスが強い時期は、歯みがき、睡眠、食事が乱れやすいので、プラーク管理にいっそう気を配り、出血が続くなら検診を受けます。