歯ぐきの退縮で歯がしみるとき:なぜ下がり、どう防ぐのか
歯ぐきが下がると、エナメル質で覆われていない根の面が露出し、冷たい水や歯みがきでしみる症状が出ます。韓国の疾病管理庁(KDCA)は、しみる症状は歯周病の直接の症状ではないものの、歯周病で歯ぐきが下がることで生じることがあると説明しているため、歯ぐきの出血や腫れもあれば、歯ぐきの治療が先です。いったん下がった歯ぐきや溶けた歯槽骨は元に戻すのが難しく、これ以上下がらないようにする管理が治療の中心になります。
要点
| しみる症状と歯周病の関係 | 歯のしみる症状は歯周病の症状ではありませんが、歯周病で歯ぐきが下がることで生じることがあります (出典: 疾病管理庁(KDCA)国家健康情報ポータル) |
|---|---|
| 歯ぐきの退縮のサイン | 歯ぐきが下がって歯が長く見え、歯と歯の間に食べ物がはさまりやすくなります (出典: 疾病管理庁 国家健康情報ポータル) |
| 60代の歯周病有病率 | 男性55.2%、女性39.5%(2018年国民健康栄養調査) (出典: 疾病管理庁 国家健康情報ポータル) |
| 歯ぐきの移植の限界 | 露出した根を歯ぐきで覆う歯肉移植術は、結果を予測しにくい治療です (出典: 疾病管理庁 国家健康情報ポータル) |
| 治療後の維持管理 | 歯周治療のあとは、3~6か月間隔の定期的な維持管理が必要です (出典: 疾病管理庁 国家健康情報ポータル) |
歯ぐきが下がると、なぜ歯がしみるのですか?
歯の頭の部分は厚いエナメル質に包まれていますが、普段歯ぐきに覆われている根の面は、薄いセメント質があるだけです。歯ぐきが下がってこの部分が口の中に露出すると、セメント質が簡単にすり減り、その下の象牙質が冷たい刺激をそのまま神経に伝えます。
疾病管理庁の資料には、歯周病のある人の60~98%で知覚過敏もあわせて現れるという報告が紹介されています。歯ぐきの退縮でできたしみる症状は、たいてい複数の歯の歯ぐきの境目に沿って広く現れ、冷たい水だけでなく、歯ブラシの毛が露出した根に触れるときにもしみることがあります。
根の面は歯の頭の部分よりやわらかいため、いったん露出すると、歯みがきや酸性の食べ物でさらにすり減りやすくなります。歯ぐきの退縮と歯の付け根の摩耗が同じ場所で一緒に進むことが多いのはこのためで、その場合、しみる症状はだんだん広く、深くなる傾向があります。
歯ぐきはなぜ下がるのですか?
最も多い原因は、プラークと歯石による歯周病です。炎症が歯ぐきの下の骨まで広がると骨が減り、骨が下がった分だけ歯ぐきもついて下がります。2018年国民健康栄養調査では、歯周病の有病率は50代以降に大きく増え、60代の男性は55.2%、女性は39.5%でした。
歯周病のほかにも歯ぐきを下げる要因はいくつかあり、たいていはいくつかが一緒に作用します。
- 横に強くこする歯みがきと硬い毛のブラシ
- 年齢とともに生じる歯ぐきの退縮
- 喫煙(歯周病の経過を悪くする危険因子)
- 血糖のコントロールがうまくいっていない糖尿病
- 歯石がたまっても定期検診とスケーリングを長く先延ばしにした場合
下がった歯ぐきは、また上がってきますか?
まず、本当の退縮なのか、腫れが引いただけなのかを区別する必要があります。スケーリングのあとに歯が長く見えるのは、炎症で腫れていた歯ぐきが元の位置に落ち着いたためで、疾病管理庁はこれを炎症が解消される自然な変化と説明しています。
歯周病で歯槽骨まで溶けて生じた退縮は、元の状態に戻すのが難しいです。骨を再生させる手術はごく限られた場合にのみ可能で、露出した根を歯ぐきで覆う移植術も、結果を保証しにくいものです。そのため、治療の目標はほとんどの場合、進行を止める、または遅らせて、しみる症状をコントロールすることに置かれます。
歯ぐきの退縮でしみるとき、どんな治療を受けますか?
歯ぐきに炎症が残っている場合は、スケーリングで歯石を取り除き、歯ぐきの下の深いところまで歯石がある場合は、根の表面をなめらかに整える歯根面の滑沢化(ルートプレーニング)を受けます。炎症がおさまってはじめて、しみる部位の処置も長持ちします。
露出した根の面がしみる場合は、フッ素やシュウ酸製剤の塗布、接着剤によるコーティングでまず対処し、根がえぐれて溝ができている場合は、レジンで埋めることもあります。前歯のように目立つ場所で退縮がひどく、しみる症状も大きい場合は、歯ぐきの移植を相談できますが、疾病管理庁はその結果を予測するのは難しいと説明しています。
歯ぐきがこれ以上下がらないようにするには、どうしますか?
歯ブラシは歯ぐきに軽く密着させ、歯と歯ぐきが接する部分から磨き、力を抜いて短く動かします。歯周病はたいてい歯と歯の間から始まるため、1日1回以上、デンタルフロスや歯間ブラシで歯と歯の間を磨きます。下がった歯ぐきのせいで歯と歯の間の隙間が広がったなら、隙間に合った大きさの歯間ブラシが特に役に立ちます。
歯周治療を受けたあとは再発しやすいため、3~6か月間隔で点検とスケーリングを受けます。禁煙して血糖を管理することも、歯ぐきがさらに下がる速度を遅らせるうえで重要です。
歯間ブラシは歯の両側の面を十分に磨ける大きさを選びますが、無理に押し込まず、歯ぐきが痛ければ1段階小さいサイズに替えます。ワイヤーが曲がって歯根をひっかくようなら、新しいものに交換して、露出した根の面を傷つけないようにします。
よくある誤解と事実
誤解: スケーリングを受けたから歯ぐきが下がった
スケーリングのあとに歯が長く見えるのは、腫れていた歯ぐきが落ち着いた結果です。歯ぐきを下げるのはスケーリングではなく、放置された歯石と歯周病です。
誤解: 飲む歯ぐきの薬を続ければ、下がった歯ぐきがまた上がってくる
疾病管理庁は、歯石を除去せずに薬だけを飲んでも効果が出にくいと説明しています。溶けた歯槽骨は薬では復活しません。
誤解: 歯ぐきが下がるのは年のせいなので、防ぐ方法はない
年齢も一因ですが、歯周病、歯みがきの習慣、喫煙など、管理できる原因が大きいです。原因を減らせば、進行を遅らせることができます。
よくある質問
歯ぐきが下がっているか、自分で確認できますか?
歯が以前より長く見える、歯の付け根のあたりに少し色の違う根の面が見える、歯と歯の間の隙間が広がって食べ物がよくはさまるといった場合は、退縮を疑えます。実際にどれくらい下がっているかは、歯科で歯周ポケットの深さとレントゲン写真で確認します。
歯ぐきが下がった部分をレジンで覆えば、しみる症状はなくなりますか?
根の面に溝ができている場合は、レジンで埋めるとしみる症状が減ることがあります。ただ、歯周病が進行し続けると、歯ぐきがさらに下がって新しい面が露出するため、歯ぐきの管理もあわせて行う必要があります。
歯ぐきの移植は誰でも受けられますか?
歯ぐきと骨の状態、退縮の位置、喫煙の有無によって、適しているかどうかが異なります。歯ぐきの移植は結果を予測しにくい治療なので、期待できる範囲やほかの選択肢を十分に聞いたうえで決めます。
電動歯ブラシは歯ぐきをさらに下げますか?
ブラシの種類より、押しつける力とみがき方が重要です。どんなブラシでも、歯ぐきの境目に強く押しつけてこすると、摩耗や退縮を増やすことがあるため、軽く当ててみがきます。電動歯ブラシを使うなら、手でこするように動かさず、ブラシが当たる位置だけをゆっくり移していく方法のほうが、歯ぐきへの負担が少なくなります。
歯ぐきの退縮があると、歯を失いますか?
退縮そのものより、その原因である歯周病がどれくらい進行しているかが重要です。歯槽骨が大きく減って歯がぐらつくほどなら危険が大きくなりますが、早めに治療し、定期的に管理すれば、進行を遅らせることができます。