知覚過敏の歯科治療:段階ごとの選択肢と、それぞれの効果と限界
知覚過敏の治療は、まず原因を確認したうえで、負担の軽い方法から段階的に選ぶのが原則です。疾病管理庁の資料によると、症状が軽ければ経過を見るか知覚過敏用の歯みがき剤を使い、歯科ではフッ素やシュウ酸塩の塗布、接着剤コーティング、えぐれた部分のレジン充填がよく行われます。レーザー、歯肉移植、神経の治療は、効果のばらつきや負担を考えて限られた場合にだけ検討します。歯周病やむし歯が原因なら、その治療が知覚過敏への処置より先になります。
要点
| 軽いしみ | 経過を見ることができ、歯が象牙質を厚くしたり、露出した象牙質の反応が鈍くなったりして治まることもあります (出典: 疾病管理庁 国家健康情報ポータル) |
|---|---|
| 接着剤コーティング | すぐに効果がありますが、長続きしません (出典: 疾病管理庁 国家健康情報ポータル) |
| コンポジットレジン充填 | えぐれた部分を埋める方法で、効果が長く続きます (出典: 疾病管理庁 国家健康情報ポータル) |
| フッ素バーニッシュ後の注意 | 1時間はすすぎと飲食を避け、歯みがきは4時間後にやさしく行います (出典: 疾病管理庁 国家健康情報ポータル) |
| フッ素塗布の健康保険対象 | 頭頸部の放射線治療を受けた人、シェーグレン症候群や口腔乾燥症の人、脳病変・精神・自閉症性障害として登録された人 (出典: 疾病管理庁 国家健康情報ポータル) |
| 神経の治療を検討するとき | 保存的な治療で良くならない、または日常生活が難しいとき (出典: 疾病管理庁 国家健康情報ポータル) |
知覚過敏の治療はどんな順序で進みますか?
最初の段階は診断です。歯科では、しみる歯に器具や氷、風を当てて痛みを再現し、むし歯、歯のひび、詰め物のすき間、歯周病など、別の治療が必要な原因がないかを先に調べます。別の原因があれば、その治療が先です。
知覚過敏と確認されたら、体への負担が少なく元に戻せる方法から始めます。一般には、知覚過敏用の歯みがき剤と生活習慣の見直し、歯科での薬剤塗布、接着剤コーティング、レジン充填の順に段階を上げ、それでも日常生活がつらいほどしみる場合は、歯肉移植や神経の治療を検討します。
どの段階でも、原因となったブラッシング、食いしばり、酸性の食べ物の習慣をあわせて直さないと、処置の効果は短くなります。
歯科で塗る薬にはどんなものがありますか?
疾病管理庁は、シュウ酸塩やフッ素などの薬剤をしみる部位に塗る局所塗布を、代表的な歯科処置として紹介しています。高濃度のフッ素を天然の松脂と混ぜたフッ素バーニッシュも使われ、しみる症状を減らしながらむし歯予防の効果も期待できます。
しみる部位に塗る処置は効果が徐々に弱まることが多く、何回か繰り返すこともあります。専門家によるフッ素塗布は3~6か月ごとの繰り返しが勧められており、塗布後は薬がよく残るよう、決められた時間は飲食を控えます。
- フッ素ジェル塗布後:30分間はすすぎ・飲食を避ける
- フッ素バーニッシュ塗布後:1時間はすすぎ・飲食を避ける
- フッ素バーニッシュ塗布後の歯みがき:4時間たってからやさしく
接着剤コーティングとレジン充填はどう違いますか?
接着剤コーティングは、露出した象牙質の上に薄い膜をつくって刺激を防ぐ方法で、疾病管理庁は、すぐに効果があるが長続きしないと説明しています。くぼみがほとんどなく、しみる面が広いときに主に検討します。膜がすり減るとしみが再び出ることがあるため、効果が弱まる時期に塗り直すかたちで管理します。
レジン充填は、歯の付け根の目立ってえぐれた部分を歯の色のコンポジットレジンで埋めて露出面を覆う方法で、効果は長く続くほうです。充填後に露出部分が完全に覆われていなかったり、接着が不完全だったりするとしみが残ることがあり、続く場合は再治療します。レジンは時間がたつと色が変わったり縁がすり減ったりすることがあるため、定期検診のときに詰めた部分もあわせて点検してもらうとよいでしょう。コーヒー、紅茶、カレーのように色の濃い食べ物やたばこは、レジンの着色を増やす要因とされています。
レーザー、歯肉移植、神経の治療はいつ検討しますか?
レーザー処置は、しみる部位にレーザーを当てて症状を減らす方法ですが、疾病管理庁の資料では、報告されている効果の幅が研究によって非常に大きいと紹介されています。ほかの処置と比べて長所と短所、繰り返しの回数を確認して決めます。
歯肉が大きく下がって根が広く露出している場合は、歯肉を移して覆う歯肉移植術を相談できますが、結果は予測しにくいものです。神経の治療は、しみの原因である神経そのものを扱う方法なので確実ですが、元に戻せません。そのため、保存的な治療で良くならない、または日常生活が難しいときに、最後に検討します。
治療費と健康保険はどう確認しますか?
疾病管理庁の案内によると、知覚過敏の処置にも使われるフッ素塗布が健康保険の対象になるのは、決まった場合に限られます。頭頸部に放射線治療を受けた場合、シェーグレン症候群や口腔乾燥症がある場合、脳病変・精神・自閉症性障害として登録されている場合です。歯周病が原因なら、満19歳以上は年1回、保険でスケーリングから受けられます。
レジン充填、レーザー、歯肉移植などの処置は、材料や範囲、治療の目的によって、保険が使えるかどうかや金額が変わります。治療計画を聞くときは、歯ごとにどんな処置をするのか、保険が使える項目と使えない項目は何か、何回通院するのかをあわせて尋ねると比較しやすくなります。
よくある誤解と事実
誤解: レーザー治療を1回受ければ、しみは永遠になくなる
レーザーの効果は研究によって大きな差が報告されています。ブラッシングや食いしばりなどの原因が残っていれば、しみは再び出ることがあります。
誤解: 知覚過敏は結局、神経の治療をしないと治らない
大半は、塗布、コーティング、レジン充填などの保存的な処置と習慣の見直しで管理します。神経の治療は、これらの方法が効かないときに考える最後の選択肢です。
よくある質問
フッ素バーニッシュを塗った日の夕食はいつ食べてよいですか?
疾病管理庁の案内では、塗布後1時間は水も食べ物もとらず、歯みがきは4時間たってからやさしく行います。塗った日は、硬いものやべたつくものより、やわらかいもののほうが楽です。
治療を受けた後に、また歯がしみることはありますか?
塗布やコーティングは効果が徐々に弱まることがあり、レジンも原因が続くと縁がすり減ったり外れたりすることがあります。再びしみる場合は、同じ処置を繰り返すか、次の段階に進むかを歯科と相談して決めます。
知覚過敏の治療は痛いですか?
薬を塗ったりコーティングしたりする処置は歯の表面で行うため、比較的簡単です。レジン充填や歯肉移植は範囲によって麻酔をすることもあるので、事前に流れの説明を受けておくと不安が減ります。
妊娠中でも知覚過敏の治療を受けられますか?
国民健康保険公団は、妊娠中の歯科治療の適期を妊娠中期(16~28週)と案内しています。妊娠していることを先に伝え、知覚過敏の処置のうち急がないものは時期を調整して進めます。
治療後に特別なケアは必要ですか?
やわらかい歯ブラシで軽くみがき、知覚過敏用やフッ素入りの歯みがき剤を続けて使います。3~6か月、または1年ごとに検診を受け、処置した部分が保たれているかを確認すれば、再発を早く見つけられます。