冷たい水を飲むと歯がしみるとき:知覚過敏と歯髄炎を分ける基準
冷たい水を飲んだときに歯がピリッとして、すぐおさまるなら、露出した象牙質が冷たい刺激に反応する知覚過敏の可能性が高いです。しかし、冷たいものを離したあとも痛みが続く、刺激がなくてもひとりでにずきずきする、夜に痛みで目が覚めるといった場合は、歯の神経(歯髄)に炎症が起きているサインかもしれず、歯科での診療が必要です。症状だけでは両者を区別しにくいこともあるため、しみる症状が数週間以上続くなら、原因を確認してもらうのがよいでしょう。
要点
| 知覚過敏の痛みの現れ方 | 冷たい水や冷たい風などの外部刺激があるときに現れ、刺激がなくなれば一緒に消えます (出典: 疾病管理庁(KDCA)国家健康情報ポータル) |
|---|---|
| 初期の歯髄炎(可逆性) | 刺激に鋭く痛み、刺激をやめるとすぐ消えるため、知覚過敏との区別が難しいことがあります (出典: 疾病管理庁 国家健康情報ポータル) |
| 進行した歯髄炎(不可逆性) | 刺激をやめても痛みが続いたり、ひとりでに痛んだりし、夜に眠れなくなることがあります (出典: 疾病管理庁 国家健康情報ポータル) |
| 歯科での確認方法 | 器具での接触や氷・圧縮空気の刺激で痛みが再現されるかを調べ、必要に応じてレントゲン検査を行います (出典: 疾病管理庁 国家健康情報ポータル) |
冷たい水が触れると、なぜ瞬間的にしみるのですか?
健康な歯では、エナメル質とセメント質が象牙質を包んでいるため、冷たさが神経まで直接伝わりません。歯の付け根がすり減ったり歯ぐきが下がったりして象牙質が露出すると、象牙質の中の細い管を通って温度の変化が神経のほうへ素早く伝わり、冷たい水が触れた瞬間に短く鋭い痛みが生じます。
冷たい水にしみる症状は、たいてい歯ぐきと接する歯の付け根の部分から始まります。鏡を見ながらしみる歯の歯ぐきの境目を観察すると、わずかにくぼんだ部分や、根の色が見えている部分が確認できることもあります。
冷たい水にしみる症状がいつ始まったかも、原因を探る手がかりになります。スケーリングやホワイトニングなど歯科治療を受けた直後なら一時的な敏感さかもしれず、数か月かけて徐々にひどくなったのなら、摩耗や歯ぐきの退縮のようにゆっくり進む原因をまず考えます。
知覚過敏か神経の炎症かは、どう見当をつけますか?
疾病管理庁は、痛みがどれくらい長く残るかを重要な手がかりとしています。冷たい水を飲み込んですぐおさまるなら知覚過敏か初期の歯髄炎のほうで、ずきずきする感じが長く残ったり、何の刺激もなく痛んだりするなら、神経のダメージが進行している可能性があります。
下の項目のうち当てはまるものがあれば、冷たい水にしみる症状を単なる知覚過敏として済ませず、診療を受けてください。
- 冷たいものを離したあとも痛みが長く続く
- じっとしていてもずきずきする、または夜に痛みで目が覚める
- 最初は冷たいものだけにしみていたが、だんだん熱いものでも痛む
- 1本の歯だけがピンポイントで痛み、噛むときも違和感がある
- 歯ぐきが腫れている、または膿が見える
冬の冷たい風でも歯がしみるのはなぜですか?
疾病管理庁は、冷たい水だけでなく冷たい風も、知覚過敏を起こす代表的な刺激として挙げています。寒い日に外で口を開けて呼吸すると、冷たい空気が露出した象牙質に直接触れ、前歯や犬歯がしみることがあります。
冬に特にしみる症状がひどくなったのなら、鼻で呼吸し、口を閉じて歩くだけでも刺激を減らせます。季節が変わってもしみる症状が残るなら、季節のせいではなく、象牙質の露出そのものを治療すべき状態である可能性が高いです。冬の運動のように、冷たい空気を口から大きく吸い込む状況でだけしみる場合は、運動の前後にしみる部位を確認しておき、診療の際に伝えてください。
冷たいものを食べるとき、すぐできる対処は何ですか?
アイスクリームや氷水をしみる歯に直接当てないことが、いちばん簡単な方法です。冷たい飲み物はストローを使ってしみる歯を避けて飲み込み、歯みがきのときも冷たすぎる水の代わりにぬるま湯ですすぐと、歯みがき中のしみる症状を和らげられます。
知覚過敏用の歯みがき粉を続けて使うことも役立つ場合がありますが、こうした方法は症状を避ける対処にすぎず、原因をなくすものではありません。対処をしても冷たい水にしみる症状が続いたり、だんだん広がったりするなら、歯科で原因を探る必要があります。
歯科では、冷たい水にしみる症状をどう確認し、治療しますか?
歯科では、しみる歯に氷や風を当てて痛みが再現されるか、刺激をやめたあとどれくらい続くかを調べます。むし歯、ひびの入った歯、被せ物・詰め物と歯の間の隙間がないかもあわせて確認し、神経の状態が疑われる場合はレントゲン写真を撮ります。
知覚過敏と確認された場合は、フッ素やシュウ酸製剤の塗布、接着剤によるコーティング、くぼみを埋めるレジン充填の順に、症状と原因に合わせて選びます。歯髄炎と診断された場合は、根管治療など別の治療が必要になります。
受診するときは、どの温度でしみるか、一度しみるとどれくらい続くか、夜も痛むか、最近受けた歯科治療があるかを整理して持っていくと、診断に役立ちます。同じ冷たい水にしみる症状でも、この情報によって検査の順序や治療の方向が変わります。
よくある誤解と事実
誤解: 冷たい水にしみるのは歯が弱くなったからなので、冷たい食べ物は一生避けるべきだ
冷たい水にしみる症状の多くは露出した象牙質によるもので、原因を管理し、露出部位を処置すれば和らぐことがあります。避けるだけでは、進行している原因を見逃すおそれがあります。
誤解: しみていた歯がある日からしみなくなれば、完全に治ったということだ
疾病管理庁は、歯髄炎の痛みが和らいでも炎症が止まったわけではなく、放置すると炎症が根の先まで広がることがあると説明しています。痛んでいた歯が急に静かになったなら、確認が必要です。
よくある質問
冷たい水にしみる症状が1年以上続いていますが、このままにしておいてもよいですか?
症状が一定で短く終わるなら急ぐ状況ではないかもしれませんが、長く続くしみる症状は、歯の付け根の摩耗や歯ぐきの退縮が進行中という意味の場合があります。一度は診察を受けて、冷たい水にしみる原因を確認し、管理の方向を決めるのがよいでしょう。
冷たい水にしみて、甘いものにもしみますが、同じ原因ですか?
知覚過敏も、甘い食べ物や酸っぱい食べ物に反応することがあります。しかし、甘いものにしみる症状はむし歯でもよく見られるため、両者を区別する診察が必要です。特にキャンディーやチョコレートを食べるときに歯と歯の間がピリッとするなら、歯と歯の間のむし歯を疑い、レントゲン写真で確認することもあります。
冷たい水で歯みがきをすると歯がしみて、みがき方が雑になってしまいます。
ぬるま湯を使い、しみる部分は力を抜いてやさしくみがきます。歯みがきを避けるとプラークがたまって歯ぐきが悪くなり、しみる症状がさらにひどくなることがあります。
冷たい水にしみるのが前歯だけです。
前歯は冷たい飲み物が最初に触れ、冬の冷たい風も直接当たる場所なので、しみる症状を先に感じやすいです。前歯の歯ぐきの境目がくぼんでいないか、ひびが入っている部分がないかを歯科で確認してもらいます。しみる前歯を以前にぶつけたことがある場合は、その事実も伝えてください。
氷を噛んで食べてから、冷たい水にしみるようになりました。
硬い氷を噛むと歯にひびが入ることがあり、ひびの入った歯は冷たい水にも噛む力にもしみることがあります。噛んだときにピリッとする痛みもあるなら、ひびの有無を診察してもらいます。ひびは外から見えないことが多いため、歯科では特定の部位を噛ませたり光を当てたりして、ひびの線を探します。